コンクリート造(RC造)の建物は、木造住宅とは、まったく違った方法の修繕が必要です。
残念ながら、建設会社でもコンクリート造の建物を多く施工している会社は少なく、新築は出来るが直すことは殆どやった事がないという会社が実に多いです。建物を定期的に修繕して長く使おうという考えは、まだ30年ほどしか歴史がなく、それまではスクラップ&ビルド(短いサイクルで建物を壊し、新しい建物を建てる)が主流でしたので、建物修繕は学問として確立されていないのはもちろん、教えることができる専門家もほとんどいません。また、様々な業種に跨いでの知識が必要なため、全体を見て状態を把握しながら修繕計画を立てる必要があるので、単なる知識だけでなく幅広い知識が必要です。
コンクリート造を修繕できる会社、できない会社
一般の方は、会社の規模が大きければコンクリート造の建物でも修繕できると思っているかもしれないですが、意外にも会社の大小は関係ありません。重要なのは、コンクリート造建物を修繕できるノウハウを持っている技術者がいるか、いないか。コンクリート造建物の知識がある技術者が所属していても担当をしてくれなければ意味がありません。
建てられるけど直せない会社
打放しコンクリート造の建物が上手いという評判(あくまでも噂)の建築会社と仕事をしたことがありますが、建築部長に至るまで修繕のノウハウは持っておらず、雨仕舞に関してもレベルが低かったです。打放しコンクリートの打設面はキレイだったのですが、建物としてはレベルが高いものは作ることが出来ておらず、その会社の建てた建物は雨漏り事故が多いです。
古い技術のままの現場監督
ある会社に昔付き合いがあった建築会社の現場監督が転職しました。それまでは、その会社の建築はメチャクチャ(とんでもなく下手くそ)だったのですが、その知り合いの現場監督が担当する建物だけは、まともに出来るようになりました。
その建設会社がある大邸宅の修繕を請負い、その現場監督が担当すると聞いたので出来るだろうとは思っていました。なぜなら、20年ほど前に、その現場監督が大規模なコンクリート造建物の修繕を担当したときに、修繕について弊社で詳しく教えたからです。その現場監督は、担当した大邸宅を直せたことは直せたのですが、知識が20年前のままで、少し残念な仕上がりでした。当社に教えてもらったときのまま、知識も技術もアップデートしていなかったようです。
直せる会社は高いのか・・・?
県外の会社ですが、破綻した建築会社の現場監督を多く引き受けた(引き抜いた?)会社があり、そこの会社は商売のやり方は褒められたものではありませんでしたが、一部の現場監督はコンクリート造の建物の直すノウハウをもっており、80点ぐらいの仕事は出来る会社でした。ただし、とんでもなく暴利を取る会社でした。
最新のコンクリート造建物修繕方法
コンクリート造建物を直す場合、昔は補修痕が目立っても仕方がないという考えでしたが、今は基本的に補修痕を見えないように直すのが最新の考え方です。しかし、建築業界の技術はアップデートする人が少ないので、未だに補修痕が出てしまうような直し方をする会社が多いです。これは施工をする職人の問題も少しはありますが、施工方法を適切に指示できていない建築会社側の問題のほうが大きいです。メーカーは、最新の工法についてアナウンスしていますので、学ぶ気があれば知識も技術もアップデートすることは難しいことではありません。
コンクリート造建物を直すのに必要な資格
国は、35年ほど前に建物を適切に直して、長く使っていく政策に方向転換しました。また、平成元年11月に北九州市の高層住宅で外壁タイル等の剥落事故が起こり、2人が亡くなり、1人が重傷を負いました。その事故をきっかけとして、建設省住宅局建築技術審査委員会により外壁診断技術者の育成方策等も重要事項として提言されました。翌年、建設省(当時)は、外郭団体であった建築設備維持保全研究会(現在のロングライフビル推進協会(通称BELCA))に「建築仕上診断技術者」の資格を創設させ、平成3年6月13日付で「建築仕上診断技術者の活用について」(建設省住防発第14号)という通達を全国の特定行政庁(都道府県や市町村)に出し、公的建物の修繕を行う際は、建築資格診断技術者の有資格者が診断するよう通達されました。
弊社では、まだ資格試験の難易度が非常に高かった、初期に建築資格診断技術者の資格を取得し、実に多くの建物を診断してきて、現在に至っています。取得した当時は、県内に4名しか資格補修者がおらず、必然的に多くの公共建物を診断する機会があったため、経験と技術の向上をすることが出来ました。