ある建物を直したときの話しです。
その建物は、テレビの報道番組などに欠陥住宅についての解説で出演することが多い建築士に依頼したのに、結局直らず、巡り巡って当社に依頼が入りました。
有名建築士が出した「原因不明」
人づてに、家を直して欲しいという依頼が入り、状態を診させていただくために後日うかがうことになりました。
お伺いして家の中に入ると、なんとなくカビ臭い感じがしました。どのような事にお困りなのか、お話を聞くと、ずいぶん前から雨漏りがあるということでしたが、雨漏りんの原因が生じそうな部分はほぼ改修されて新しくなっていたので、改修工事後に雨漏りが生じたのであれば、改修工事を行った業者に診てもらった方がよいのではないかと提案しました。しかし、雨漏りは改修する以前からで、雨漏りを直したくて提案された改修工事を行ってきたというのです。それだけでなく、人づてに欠陥住宅に関する専門家としてテレビの報道番組にも出演している建築士にも調査を依頼したのに、原因が判明しなかったと、その建築士が依頼主に提出した調査書を見せてくれました。
そこに記載されていたのは「原因不明」。これだけで調査費用として多額の費用を請求されたと愚痴をこぼしていました。
建物だけでなく周辺を調査
私は、その建物が住宅密集地にあったことから、建物だけの問題でない可能性を考え、周辺を含めて様々な角度から写真を撮り、徹底的に分析することとしました。
雨は水です。それも空から降り、様々な部分を伝わることで動きを持った水となるので、ホースで水を撒いたり、水を貯めるような調査の時とは全く違った動きをします。そのことを踏まえて、水の動きを想像しながら建物をすべて見直すと、雨漏りを引き起こしている原因に、一つの仮説が浮かびました。仮説を、雨漏りが起きるときの気象条件、雨漏りの起こり方、症状などを当てはめていくと、これといった矛盾がなかったので、依頼主には100%ではないとしたうえで、原因ヵ所に雨が注さないように仮工事をし、様子を見ることを提案しました。
半年以上たった結果
仮工事が冬場で雨が少なかったので、春先の雨が続きたあとに雨漏りがあったか確認したところ、雨漏りは確認されませんでした。依頼主の希望で梅雨時期も様子を見たいということでしたので梅雨が明けるまで更に3か月以上経った後に確認しましたら、ここでも雨漏りは起きておらず、私が発見した部分が雨漏りの原因であることはほぼ確定しました。それでも雨漏りには1つではなく、複数の原因があることがあるので、台風などで条件が異なれば雨漏りが起きる可能性があることを説明した上で、本格的な修繕工事を行いました。
台風の後も
その年の秋に台風が来た後に、雨漏りはなく、依頼主は本当に喜んでくださいました
なお、「原因不明」とした報告書だけ出してきた建築士会社の調査料より、当社の修繕代金の方が安かったです。